【本紹介】ファクトフルネス【本能を疑え】

 

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結論とオススメする読者

  • ファクトフルネスとはデータによって世界を正しく知る方法である
  • 本能的な思い込みによる判断を避ける方法を知りたい人
  • 世界を投資先として考える上で分析する方法を知りたい人

ファクトフルネス

ファクトフルネスの著者ハンス・ロスリング氏(以下ハンス氏)はスウェーデン生まれの医師で大学で統計学と医学を学びました。

あるときハンス氏は人々の認識と事実に大きなギャップがあることに気付きます。

その誤解が危険なものであると感じたハンス氏は、息子夫婦と共に世界中の情報を集め、人々の世界に対する知識不足を補うことを使命とするようになります。

 

世界は悲劇に溢れている?

生活の中でニュースというものは欠かせないものの一つでもあります。

日常を過ごしているだけで様々な情報が私たちの耳に入ります。

テロ、強盗、経済危機、難民、株価暴落…など

そのどれも悲惨で、中には耳を塞ぎたくなるようなニュースを耳にすることもあります。

 

その中で我々は「世界はどんどん悪くなっている」「このままでは日本に未来はない」などのある種悲観的な感情を抱くことがあります。

しかしその認識は本当に正しいものなのでしょうか?

 

チンパンジークイズ

ハンス氏は人々の知識不足を自覚させる為に世界中の人々にクイズを出しています。

以下はその一部です。

 

世界中の1歳児の中で、なんらかの予防接種を受けいる子供はどのくらいいるでしょう?

A 20%

B 50%

C 80%

1996年には、トラとジャイアントパンダクロサイはいズレも絶滅危惧種としてしていされていました。この3つのうち、当時よりも絶滅の危機に瀕している動物はいくついるでしょう?

A 2つ

B ひとつ

C ゼロ

 答えはいずれもC、そして正解率は適当に選んで正解する確率33%より遥かに低い数値となります。

ハンス氏はこの「チンパンジーにも及ばない」正解率を示すことで人々の認識と現実にあるギャップの自覚を促しています。

 

10の本能

ハンスはこの認識と事実の乖離の原因について、10の本能にあると述べています。

ここでは私が個人的に興味深いと思った2つについて紹介させていただきます。

分断本能

人には人を分けて考える癖があります。

例えば先進国と途上国、金持ちと貧乏、天才と凡人などです。

それらの間には超えることのできない「壁」があるように感じられます。

しかし実際にはそれらの境は非常に曖昧なもので、その「分断されている」という認識が現実とのギャップを産みます。

 

途上国は先進国を匹敵する生活をしている可能性がありますし、世の中には金持ちでも貧乏でもない人がほとんどですし、天才も凡人所詮はただ一人のヒトでしかありません。

 

極端に物事を考えたり、一度ラベル付けをされたものが「変化しない」とつい考えてしまうのには、

思考をシンプルにできたり、自分の「敵・味方」を判断するのに役立つというメリットがあります。

しかし現実は2極化できるほど単純なものではありませんし、無理やり分類をしてしまえばそれは歪んだ事実に変わります。

人のこういった思考に陥りやすいのはニュースやメディアなどの影響もあります。

テレビなどで取り上げられるのは極度の貧困や富裕層のくらしなど極端な情報を流れる傾向にあり、またそういった情報の方が人々の頭には残ります。

 

焦り本能

焦り本能は「いますぐ決めなければならない」という本能です。

ハンス氏この本能の危険性を、自身の判断ミスから数名の命を失ってしまった体験談を交え語ります。

 

焦りというのは大事な感情です。捕食者を見かけてのんびりしているような動物では生き延びることはできません。

しかし焦りは恐怖を引き起こし、冷静な判断をできなくします。

 せっかく事実を認識できるだけの情報がそこにあっても、焦りは事実を認識することをできなくさせます。

 

セールスに「本日限定」とか「先着」つくとつい買ってしまうのは、この「焦り」から冷静な判断ができていないことから来ています。

 

データを見る習慣

本能を抑え事実を認識にするには「データを見る」ことが最適となります。

統計的なデータはその最たるもので、自身の認識にある世界はもうすでにどこにも存在しない可能性すらあります。

また「すぐに判断しなくちゃ」と思ったときにも一度立ち止まり、データを確認する習慣を身につける必要があります。

そういう感情が発生する時点で冷静さを欠いているので、一旦ニュートラルな状態に戻りましょう。

Kozの考え

本能は悪ではない

ここまで見ると本能というのは厄介なものに感じられるかもしれませんが、生き物には本能は必須なものです。

危険なものが近づければ逃げる必要があるし、敵や味方を迅速に判断する必要があります。

またこれまでの進化の過程でそういった傾向が強い者が生き延びてきて、それが私たちでもあります。

大事なのはこの本能を自覚し、判断を行う上で障害にならないようにすることです。

 

個人的な考えではありますが、私はこういった話を聞くと安心する部分があります。

人間にも本能という動物的な反応が多くあり、というかそれに未だ支配されていると感じると、逆に自身のコントロールもそれに対する対処をすれば 容易になると感じるからです。

私は根性とか意志力とかの精神論的なものをあまり頼りにしていません。

自分の感情は環境などを変えてコントロールすることしています。(というか意思の力ですることを諦めています)

 

 

投資としてのファクトフルネス

私は投資信託ETFなどで先進国などに投資をしてきました。

いわゆる途上国についてはこれまで最初から候補から外して今まで見てこなかったわけですが、この本を読んでその考えを改めることにしました。

途上国を一括りにし関係ないものする「分断」的な思考は、投資をする上で有害であると感じたからです。

投資として非常に効率的な方法は、誰もまだその価値を認識していないときに投資し、それが後に周りにも認知され評価(株価上昇など)されることです。

そういったチャンスを逃さない為には、先入観や固定観念に縛られずにデータを見つめる習慣が必ず役に立つと思います。

 

 

ファクトフルネス

本書の著者であるハンス氏はこの本の執筆中に病気の為息を引き取っています。

この本実は息子夫婦と共に3人で執筆されているのですが、ハンスは余命が宣告されたあと全ての予定をキャンセルし息子夫婦と共に本の執筆に全力を傾けるようになります。

35年も人に話せなかった過去の自分の過ちや、胸の抉られるようなエピソードが誇張なく記されています。

ハンス氏は人々の世界に対する知識不足を懸念していました。

正しい地図無しに正しき目的地にはたどり着けませんし、誇張されて過ぎた悲惨な世界は諦めを産むからです。

ファクトフルネスは正しく世界を見つめる方法を教えてくれる本です。

FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣